吾輩はバイオリンである。フランスはパリで生まれたが、どういうわけか今は日本の福岡というやたら蒸し蒸しと暑いところに身を置いている。
これまで6人の人間が吾輩の元へ来て去った。7人目の人間が現在の相方である。といっても、まだせいぜい「相方見習い」といったところだ。
まず指圧の仕方がなってない。強すぎ弱すぎ、そもそもツボというものがわかっていない。
また折角こちらが響いてやろうというのに、力任せに弓をゴシゴシ押し付けてくるもんだから響きようがない。歌っている者の首を絞める奴があるか。
極め付けは歌心がない。過去には素晴らしい歌心を持った人間にも出会ったものだが、嘆かわしいことである。
まあそれでもめげずに毎日吾輩に教えを乞いにくるのだから、余程暇と見える。頼むから暇に甘えず、効率的に頭と時間を使い1日も早く我が相方として一人前になって欲しいものである。
バイオリン弾き 三澤
コメント