練習帰りの思索 そばの美味しさが分かる大人になりたい

お茶しませんか?

最近めっきり涼しくなり、半袖にするか長袖にするか、天気予報を見ながら悩む今日この頃です。自主練習終わりのうどんをかき込んでいたら、ふと思い出したことがありました。長野の「かんだた」というお蕎麦屋さんにある、そばの食べ方についての案内です。

手打ち(せいろそば)のおいしい食べ方  かんだた流
1、 お腹の空いたときに食べる。
2、 出て来たらすぐに食べる。
3、 薬味は少しずつ入れて食べる。
4、 そばは八本ずつすくって食べる。
5、 汁には半分くらいつけて食べる。
6、 音を立ててすすって食べる。
7、 奥歯で二回ほど噛んで食べる。
8、 食べ終わったらそば湯を飲む。
9、 以上を気にせず好きに食べる。
(長野県長野市 かんだた 店内掲示より)

通はざる、一口目は塩で風味を味わうのが粋などと、メディアで取り上げられていた頃のことです。若干の皮肉と、店主のおおらかな姿勢が窺える文章がネット上で話題になりました。つべこべ言わず、食べたいように食べるのが一番だ、という強烈な印象が残ります。

翌週に迫った定期演奏会、6月から練習を開始し、約4か月間取り組んできました。曲の構造、和声、フレージング、アーティキュレーション、記号を何度も反芻してきたつもりですが、直前になっても新たな不具合や気づきが出てきます。やってもやっても終わらない、ある種無間地獄のような様相に辟易しているところに、先述のそばの食べ方を思い出したのでした。

音楽に携わる者の定めでしょうか、泣いても笑っても本番は一度きり、好きに弾くしかありません。でもそれは細かく考えても無駄だということではなく、「好き」をより深く認識し、味わうために練習や合奏の積み重ねがあって、1度きりの本番で花開くということなのだと思います。そばの喉越しや風味を味わうような、一瞬の時間に目一杯のこだわりを詰め込んだ演奏になるよう、もう少しだけラストスパートをかける所存です。本番ご一緒するみなさまもどうか見守っていただければ、そして以上を気にせず好きに聴いていただければと思います。

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