チェロと考える サウンディング・ポイントのこと

練習ノート

*この文章は一奏者がぼんやりと考えたことを書き起こしただけですので、音楽的に正しいかどうかはわかりかねます。ご了承ください。

私たちアマチュアのチェロ弾きがボウイング練習をするとき、まっすぐ弓を動かすことや綺麗に発音することにはよく気を付けますが、指板寄りで弾くのか駒寄りで弾くのかは重視せずに練習してしまいがちです。特にオーケストラでは和を乱さない音が求められるため、主張が強く雑音が入りやすい駒寄りの音は使わず、過剰に指板寄りで弾いてしまう傾向があります。しかし、弓と弦の接点(サウンディング・ポイント)を適切に調整して弾くことは楽器を鳴らす上でも重要ですし、表現の幅を広げ、音色を揃えることにもつながります。とはいえ、適切なサウンディング・ポイントとはそもそもどこにあるのでしょうか。

開放弦でボウイングをしてみましょう。指板の上から弾き始め、サウンディング・ポイントを少しずつ駒側に近づけていくと楽器本体の中の響きが増えていくのが分かります。ある程度のところまで行くと響きの増え方が途端に小さくなります。その場所が最もバランスの良いサウンディング・ポイント(スイートスポット)です。さらに弓を駒に近づけていくと、倍音が増えた張りのある明るい音色に変化していきます。

 左手で弦を押さえることにより弦長が変化すれば、当然スイートスポットも変化します。開放弦でのスイートスポットが駒から6cmの箇所だとすれば、同じ弦でオクターブ上の音を出すときのスイートスポットは駒から3cmの箇所になります。オーケストラでハイポジションを使うのは目立つべき場所が多いことを考えると、さらに駒寄りを弾いてもよさそうです。

 実際の合奏では、発音の難しい速弾きなどでは1~2cm指板寄りで弾くこともあるかもしれません。ただ全員が全員、標準のサウンディング・ポイントを指板寄りに調整してしまうと、スイートスポットで弾く人が悪目立ちしてしまいます。結果としてみんなが指板寄りで弾くことを余儀なくされ、乱すことはないけれど主張も響きも少ない音だけが残る縮小均衡に陥ってしまいます。

 話は変わりますが、絵が下手な人は自信がないからか絵を小さく描く傾向があるそうです。大きく描いた方が構図も取りやすく修正もしやすいのに、勇気が出ずに小さく描いた結果、やっぱり上手に描けないとさらに自信を無くす、負のループに陥ってしまう。ひょっとしたら、チェロについても同じことが言えるのかもしれません。まずは大きく、しっかりいい音で弾いてみて、その音が集まってどんなサウンドになるかを楽しめたら、オーケストラに参加する意味がより一層感じられるのではないでしょうか。

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