つもりつもって

お茶しませんか?

フレンチの三國シェフが、
「鶏肉など切りにくいものは、まな板を切るつもりで切ると絶対切れる」
と仰っていました。

本当に切れるんですよ。ぬるぬるの鶏皮が切れないときなんか「んぎぎぎ〜、切れろきれろ…」と歯軋りしながらゴシゴシ包丁を動かすより、「まな板切る」と思えば一発で切れます。

いやいや不思議。言葉の力?イメージの力?「手の力は抜いて〜、体の中心を意識して〜、そこから腕に重みを伝えて〜」なんて説明より「まな板を切るつもり」と思うだけでうまくいくなんて。「つもり」にはすごい効果があるんですね。演奏技術の上達にも絶対に活かせる戦略だと思うのですが、今のところ「まな板を切る」ほどのハマる表現には出会えていません。ちなみにアナウンサーは目の前に壺を置いて、その壺を声で割るつもりで発声練習をするんだとか。楽器でも使えるかな。

ある指揮者の方は「人を感動させるというのを英語で『touch someone’s heart 』というんだ」というお話をされていました。「touch someone’s heart」つまり「心に触れる」。聴き手の胸のさらにその奥の深いところまで手を伸ばしてその心にそっと触れる。そんなつもりで演奏してみると、空気中に音を放つだけの時とはまるで違う音楽になるんです。騙されたと思って一度お試しあれ。ただずっと心に触れられても不快なので、ここぞという時の魔法ですね。

「イメージできないことは実現できない」と誰かが言っていました。逆にイメージがあれば実現にぐっと近づく。そんな事を考えているうちに今晩のチキンカレーができました。味付けはイメージ不要の市販のルーですけどね。

バイオリン弾き 三澤

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