味覚を磨く

お茶しませんか?

こんにちは。バイオリン弾きの三澤です。

演奏会へ行きました。ずっと行きたかった演奏会、放心するほど素晴らしい時間でした。

素晴らしすぎて「私がやっているものは一体何なのだ?」と自分の音楽活動に対する疑問が一瞬わきかけましたが、「音楽をやってきたからこそ、この演奏を聞くという体験ができたのだ」となんとか正気を保ちました。

私なんかが音楽を練習しようという時は、まず楽器の演奏技術に頭を悩ませてしまいますが、そんなことよりそもそも作品から受け取っている情報がまだまだ少な過ぎるのでしょう。
ソムリエの味覚や嗅覚のように、作品の味をつぶさに繊細に感じ取り、知識でもってその由縁や意味を理解する。そして盛ることも削ることもなく、その味わいを表現し切る技術がある。演奏家はパフォーマーである以前に、ソムリエでありメッセンジャーである、ということを深く胸に刻まれる演奏会でした。

私たちが演奏する作品は、今やネットで無料でいつでもどこでも誰にでも振る舞われているものの、本来それは言ってみれば超超超一流のシェフが極めた超超超一流の料理。

私はその料理を丸呑みするようなことをしていないか。
果てはマヨネーズをかけて食べたりはしていないか。

もったいないもったいない。その香り、あしらい、食感、味をもっと感じ取りたい。演奏家や作曲家が味わっている作品の味を私だって味わってみたい。…ああ、そうだった、その為に音楽をやっているんだった。
ありがたいことに料理と違って曲は何度味わっても減らないし、どれだけ時間をかけても腐らない。

目標は「いい演奏をする」から「作品を味わう」へ一旦シフト。

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