最初が肝心②ボーイング決め

練習ノート

譜面の製本が完成したので次はボーイング決めです。これは弦楽器トップのお仕事。アップで弾くのかダウンで弾くのか、スラーを切るのか切らないのか…指揮者が来てから方針を伺って変更する可能性もありますが、とりあえず決めないと練習しにくい、そして早く決めないとパート員のモチベーションも下がりかねないので暫定的に決めていきます。

暫定的とはいえ、かなりの部分は最初に決めたボーイングのまま本番を迎えることになるので慎重に考えます。自分なりにできるだけ作曲家の意を汲み、かつパート員の癖を考慮、スコアを見て他の弦楽器パートのボーイングも予測しながら辻褄が合うように…。とやっていると、自ずと「これだ!」というボーイングが見えてきます。迷うのは「どっちもアリ」という時。
例えばこの譜面。グレイト1楽章、弦楽器unisonです。

パッと思いつくのはこの4つ

②は2小節目のA(ラ)のアクセントがアップになるのはちょっと…。でも1小節目は広々堂々とした感じになりそう。
④は一番歯切れのいい感じ。決然とした感じ。
①は最も音の隙間を埋めて弾くこともできるので、どっしりした威厳のある感じになりそう。1小節を1ビートで感じることもできる。
③は1小節目のクサビをはっきり弾きつつ、2小節目で流れを残す感じになりそう。

などなど…善し悪しの問題ではなく「みんな違ってみんないい」からこそ悩みます。

実際はここにパート員それぞれの意思が入って演奏されるとまた違った結果になりますし、音楽の方向性ありきなので指揮者に相談しなければ決められない所もあります。つまり今の段階で私が1人悩む意味はないと言えば、まあ確かにそうですが。でもこうして色々なボーイングと方向性を考えていると、実際に合奏した時や指揮者の棒で演奏した時には、何も考えなかった時より遥かに色々なことに気がつけるように思います。

もう一例、こちらの譜面。グレイト4楽章、1stバイオリンです。

う〜む、これはいつも迷うパターン。506、508、510小節がアップビート(弱拍)ながらfzがついているパターン。fzが無かったら迷わずこうしますが、

こういうfzはダウンボウの方が表現しやすいのです。となると、どうにかその前で都合をつけてfzがダウンボウになるように、

これは弾きやすいのですが、でもやっぱり音楽的にはアップビート(弱拍)になるところにfzがあるからこそ面白いスパイスになっているのであって、これをfzダウンボウにすると下手すればその面白さが損なわれるんじゃ?しかしこのパターンはこの後しばらく続くのでやっぱり弾きやすい方がいいんだろうか、fzがつかなければ元も子もないわけだし。でもfzアップパターンは捨てがたい。パート員から苦情がくるかしら…悶々…。

こんな時は現代のアマチュア奏者の救世主、YouTube のお力を借ります。「グレイト」で検索すればいくらでも素晴らしい演奏動画が出てきます。
さてさてプロの先生方はどうされているのかな?fzはアップボウかダウンボウか。

4つ、世界トップのオケの動画を拝見しました。結果は2対2の引き分け。正解は無かったということで、まあそれならそれで安心して決められます。

そんなこんなでやっと暫定ボーイングが完成。次はようやく練習です。

バイオリン弾き 三澤

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