なぞなぞ

お茶しませんか?

私の爺や。子どもの頃から私の教育係。温厚そうでいて厳しい。一緒に出かけるとどんなに足場が悪いところでも、私に構わずスタスタ歩く。手は引いてくれない。

「自分の足で歩きなさい。私の隣を、自分の足で。」

駆け出せば制され、道草を食おうものならぺんぺんとお尻を叩かれてきた。いつも冷静だが、無表情で何を考えてるのかわからない。

そんな爺やを人は「堅物」という。

でも、その魂は実は堅物なんかじゃないと思う。無感情なようでいて、時に焦る私をなだめ落ち着きを取り戻させ、時にロックに私に脈動を与え鼓舞する。

そのロック魂につられて走り出そうとすると

「これこれ、そう熱くなりなさるな。ちゃんと周りをご覧なさい。自分をご覧なさい。髪は乱れているし、靴だってちゃんと履けていませんよ。そんなんじゃ、みっともなくすっ転びますぞ。」

と怒られる。やっぱり堅物…そう思う私のひざ小僧は、すっ転んだときのすり傷だらけ。

爺やに頼れば大丈夫。爺やが私を支えてくれる。そんな依存心を持てば、すかさず爺やは言う。

「私は最後までついて行ってやることはできないのです。歩き方を覚えたら、あとは自分で自由に踊りなされ。」

そんな爺やの座右の銘は
「音楽家は自由の刑に処せられている」
だとか。やっぱりお堅い。

私の「爺や」、な〜んだ?

バイオリン弾き三澤 作

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